9.ひとリンパ球の調整(和賀巌)
[材料/ 器具]
(1)ひと(健常人)
(2)消毒用エタノール(70%)
(3)シリンジ
(4)注射針;(18~20G)
(5)ポリプロピレン製遠心チューブ
(6)PBS(4℃に冷えている方がよい。 2mMEDTAをいれてもよい)。
(7)抗凝固剤(ヘパリン)
(8)リンフォプレップ:(血球分離用比重液、比重=1.077のものであればよい)。
[方法/コツ]
(1)ヘパリンを含んだシリンジで血液を採取する。
(2)等量の生理食塩水で血液を希釈(*)する。
(3)50mlの遠心チューブに血球分離用比重液を15mlいれる。
(4)界面を乱さないように30ml の希釈血液を血球分離用比重液の上にのせる。
(5)遠心(1500rpm,30min,室温**)
(6)上清を捨て界面の細胞***を回収する。
(7)PBSを2倍量以上加る。
(8)遠心(1200rpm,10min,室温)する。
(9)赤血球が不用の場合はこれを除く(溶血法を参照)。
(10)PBSで懸諾し、再度遠心(1000rpm,5min,室温)洗浄****する。
[注意点]
*: Caを含むmedium等で希釈すると血液が凝固することがあるので注意する。
**: 冷やすと比重が変化して顆粒球や赤血球がコンタミする。
***: 血小板が凝集して白い塊を生じる場合があるが、よくばってこれを回収すると、白血球 まで凝集してロスることになる。遠心チューブの壁面などにある白い塊は回収しない。
****: この段階の血球を抹消血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells)と言う。このまま実 験を行う報告も多いが、さらに46%Percoll(ファルマシア)に重曹遠心(1500rpm.20min.室 温)した沈澱の細胞や、プラスチックフラスコに非付着性(付着条件:1x108/ml in RPMI-1640 containing 10% FCS、37℃,60min.)の細胞を集めてリンパ球を濃縮する方法が よく行われる。