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2.培養細胞への遺伝子導入(坂中千恵)

1.電気穿孔法(Electroporation)

CHO cells(trypsinize,1~5x107/ml)

→ wash cells with electroporation buffer(ice cold) twice

→cells are suspended in 1ml of electroporation buffer

→transfer 800μl of cell suspension to a 0.4cm cuvette

→add DNA solution(~10μg) and mixing well(pipetting)

→incubate on ice for 10 min

→put 1 pulse......condition set voltage 0.4~0.45kV

capacitance 25mF

→incubate on ice for 10min

→plating cells into dishes or flasks(wirh Ham F12/10%FCS)

 

2.DEAE-Dextran法

1)COS-7 Cells subconfluent (60~70%) COS-7 cells(10cm dish)

→wash monolayer with 5ml of TBS-D twice

→add DNA/DEAE-Dextran mixture 1ml/10cm dish

DNA/DEAE-Dextran mixture DNA 2~10μg/ml

DEAE-Dextran 500μg/ml

TBS-D up to 1ml

→incubate at 37℃ for 5~10min

→aspirate DNA-DEAE-Dextran mixture,when the cells begin to round up

→wash monolayer with 5~10ml of TBS-D twice(gently)

→add 10ml of DMEM/10%FCS/100mM chroloquin

→incubate at 37℃ for 4hrs.

→aspirate medium

→wash monolayer with 5~10ml DMEM twice

→harvest cells 48~72hrs. after tranfection

2)HEK293 Cells

aspirate medium

→add DNA-DEAE mixture

(DNA 10~20μg, 100mM Chroloquin 12μl, 50mg/ml DEAE-Dextran 60μl, α-MEM/10% FCS 12ml) / f10cm dish

→incubate at 37℃ for 2~4hours

→aspirate medium

→add PBS/10% DMSO

→incubate at room temperaturefor two min.

→wash monolayer with PBS twice

→add medium

 

付) 1.エレクトロポレーションでは電圧をかけたあとに細胞が50%死ぬ位の条件がもっとも効率が良いとされている。実験の最初には、効率の良い設定電圧、キャパシタンスの条件を検討する必要がある。

2.DNA/DEAE-Dextranの処理を止めるタイミングは顕微鏡で細胞の形態を観察しながら行う。

3.DEAE-DextranはPharmaciaの17-0350-01を水に溶解しフィルター減菌して用いる。

 

エレクトロポレーションでのマクロファージ株細胞への遺伝子の導入条件についてご報告いたします(和賀巌)。

1) 対数増殖期のマクロファージ*(約3 x 106個)を200 μL の10%FCS**を含む DMEMに浮遊させる。

2) 10μg のプラスミド***を10μLのPBSに溶かして加える。

3) 室温で 0.4 cm の Bio-Rad のキュベットにいれ、5分間放置する。

4) 960 μF, 0.30 kV (ジーンパルサー)の条件でパルスする。

5) このときtime const.は、51 ~ 120位でした。

6) 10 mLの 10%FCS-DMEMに細胞を浮遊させる。

7) 96 well plate に 100μL づつまく。

8) 24時間培養ののちgeneticin(0.3 - 0.8 g/L)でセレクションをはじめる。

9) 2-3週でクローンの確認ができる。

 

*細胞は、RAW264.7とP388D1をもちいているのですが、どちらも遺伝子導入に成功しています。 おそらく他の株にも応用できるとおもいます。 RAW264.7の場合、この条件で53-82 wells/plate でクローンが確認できました。

**FCSがあると導入効率が向上します。

***プラスミドはセシウム超遠心法を2回おこない精製しました。キアゲンだけでは不十分です。おそらく、プラスミドにもエンドトキシンが混入しています。これをきれいに除くことがコツのようです。 

 

スフェロプラスト融合法によるCOS細胞へのcDNAライブラリーの導入法を報告いたします。(和賀 巌)

a.スフェロプラストの作成

1)cDNAライブラリーを導入した大腸菌(5X105以上の独立のクローンを含むもの)をLB1リットルで培養する。(OD600=0.5まで)

2)スペクチノマイシンを100μg /ml(最終濃度)添加する。

3)さらに37℃で10時間培養する。

4)4℃,10000rpm,5分遠心し集菌する。このとき、余分のbrothを十分に除去すること。

5)50mlの 20% sucrose/50 mM TrisHC(lpH 8.0)に懸濁する。

6)氷上でリゾチーム(5mg/ml)を10ml加え5分静置する。

7)20 ml の0.25 MのEDTAを加え、氷上で5分間静置する。

8)20 mlの50 mM TrisHCl(pH 8.0)を加える。

9)37℃で5分間インキュベートする。

10)10% sucroseと10 mM MgCl2を含むDMEM培地を20 mlゆっくりと加える。

 

b.スフェロプラストとCOS細胞の細胞融合

11)6 cm の培養dishに前日にまいたCOS細胞(50 % confluent)の培養液を吸引除去しスフェロプラスト溶液を5ml重層する。

12)1000 x G, 10 分 遠心する。

13) 上清を十分に吸引除去し、PEG溶液 (50%DMEM)を2ml静かに重層する。このとき、PEG溶液をよく全体に行き渡らせる。

14)  PEG溶液を静かに吸引除去する。

15)3分間 静置する。

16)無血清のDMEMでPEGをあらう。

17)3mlのDMEM で6時間培養する。

18)培地を除去し、新しい10%FCS を含むDMEM(genntamycine入です)3mlに交換する。

19)48時間培養し、スクリーニング(binding, panning,sortingなど)を行う。