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19.cDNAライブラリー作成法(中村元直、横溝岳彦)

(横溝注)これは大変良くできたマニュアルなので、いくつか(横溝注)という形でコメントするにとどめました。現在改良点も多いので15.1も参考にして下さい。

 

1.Preparation of totalRNA

(モルモット白血球の調製)

(用意するもの)

・モルモット:ハートレー系、メス、350g   ・2%カゼイン溶液  ・生理食塩水

1.前日から絶食させたモルモットの腹空内に体重の1/10容の2%カゼインを注入する。

(50mlシリンジ及び18G針を使用)

2.約18時間後、腹空内から好中球を回収。腹空内を生理食塩水で洗浄することで回収率を高める。

3.ガーゼで濾過してゴミを除く。

4.500xg,3分間、遠心する(500ml遠心チューブ)。

5.沈澱を10倍容の滅菌水に懸濁し赤血球を壊した後、即等量の(x2)生理食塩水を加える。

6.50mlファルコンチューブに移す。

7.500xg、3分間、遠心する。

8.-70oCで保存する。(チュ-ブのまま保存)

*2~5x108Cells/モルモットの好中球が期待できる。

この場合Wet Weighで約0.2g/モルモット程度となる。

 

(Total RNAの調整)

(用意するもの)

・GTsoln

グアニジウムチオシアネート 120g

サルコシル 1g

EDTA 0.372g

(1M)クエン酸ナトリウム(pH7.0) 5ml

200ml

(横溝注)このステップは現在kitとしてPharmaciaから市販されている。(15.1参考)

 

1.1g好中球/30mlGTsoln.の濃度になるようにGTsoln.を加え、120μの2MEを加えた後よく懸濁して細胞を破砕する。

2.50ml用超遠心チューブ(DEPC処理)にCsCl溶液を8ml入れ、さらにこの上に細胞を破砕したGTsoln.を重層する。

3.26,0000rpm、15oC、50時間以上遠心する。Rotor:SRP28SA

4.遠心後、GTsoln.及びCsCl溶液部分をアスピレーションで除く。この場合RNAはチューブの底に沈澱しているのでアスピレーションでCsCl溶液部分を除く際には少し液を残すつもりにする。

5.新しいGTsoln.(2,3ml程度)でチューブの壁面を洗い、今度はできる限り完全にアスピレーションで液を除く。

6.沈澱物(RNA)を素早く80%エタノールでリンスし、チューブを伏せて液をきる。(2,3分間)

7.チューブの底の沈澱物を1mlのTESに溶かし(ピペットマンを使ってもよい) 同時に1mlのフェノール(TE飽和)を加えて十分混合する。

8.この溶液(2ml)をコレックスガラスチューブ(シリコン処理)に移し、1mlのクロロホルムを加えてさらに十分に混合する。

9.パラフィルムでチューブにふたをし、10,000rpm、15oC、10分間遠心する。

10.上層を別のコレックスチューブに移し、下層に1mlの滅菌水を入れてさらによく混合する(バック抽出)。

11.10,000rpm、15oC、10分間遠心後、上層を先の上層と合わせる(トータル2ml)。

12.200μlの(3M)NaoAc、4.5mlのエタノールを加え、ー70oC、2時間放置後、ー20oC、2時間放置する。

13.10,000rpm、4oC、10分間遠心する。

14.沈澱物(大部分がRNA)を1mlの滅菌水(DEPC処理)に溶かす。

15.500μlずつエッペンチューブに分け、エタノール沈澱の状態でー70oCに保存する。

*これで約3mgRNA/10匹モルモットのTotal RNAが得られる。

長期保存の場合にはエタノール沈澱の状態でー70oCにいれておくのがよい。

 

(RNAの定量)

OD260の値を測定する。この値が1.0の時、RNA濃度は40μg/mlとなる。またOD280の値も測定しOD260/OD280=2.0に近い程RNAの純度が高いと予想される。またアガロ-スゲル電気泳動でもチェックする必要あり。この場合28SrRNAと18SrRNAのバンドがはっきり確認でき、しかもそも比が2:1ならば完璧に成功です。

 

2.Poly(A+)RNA isolation

(用意するもの)

・Oligotex-dT30 (super)(第一化学薬品)

・5M NaCl(DEPC)

 

1.エッペンチュ-ブ(1.5ml)に500μgのRNA(250μl)を用意する。

2.250μlの(x2)elutionバッファ-を加える。

3.500μlのOligotex-dT30を加え、よくミックスする。

4.65oC、5分間インキュベ-トする。

5.氷中で急冷する。

6.100μlの(5M)NaClを加え、十分混ぜる。

7.37oC、10分間インキュベ-トする。

8.14,000rpm、5分間遠心する。

*新製品の樹脂(Super)は短い遠心時間でしっかりとした

ペレットになってくれる。もし遠心不十分のようならばさらに5分間遠心するとよい。

9.上清を除く(ピペットマンを使う方がよい)。

10.沈澱した樹脂を400μlの滅菌水(DEPC)に懸濁する。

11.65oC、5分間インキュベ-トする。

12.14,000rpm、5分間遠心する。

*この場合も遠心不十分のようならばさらに5分間遠心する。

13.上清を別のエッペンチュ-ブに移す。

14.20μl(1/20vol)の(5M)NaCl(DEPC)を加え、

さらに1mlのエタノ-ルを加えて良く混ぜる。

15.-70oC、2時間以上放置する。この状態で保存可能。

 

3.Size fractionation of poly(A+) RNA by sucrose density gradient

(用意するもの)

・密度勾配調製器(図1にある器具、5研にある)

・5%および30%ショ糖溶液(下記)

 

1.図1に示すように、6mlの5%ショ糖溶液と5.5mlの30%ショ糖溶液を用いてショ糖溶液の密度勾配を作る。

・5%ショ糖溶液 30%ショ糖溶液

Sucrose 5% 30%

Tris-HCl(pH7.5) 10 mM 10 mM

EDTA 1 mM 1 mM

SDS 0.1% 0.1%

2.約200μgのpoly(A+)RNA(100~300μl)に1/10容の10%SDSを加える。

3.65oC、5分間、インキュベ-トしRNAをほぐす。

4.室温に戻した後、ショ糖密度勾配溶液の上に重層する。

(氷中で急冷するとSDSが析出してしまうので注意)

5.24,000rpm、15oC、18時間、超遠心する(rotor:RPS40T)

6. 図2に示した装置を組立て、ペリスタポンプの流速を0.5ml/minとなるように調節する。

*図2の装置に必要なもの(すべてRNase freeにする)

・シリコン処理キャピラリー(長、短、各々1本ずつ)

・シリコン処理エッペンチューブ、約30本

7.遠心後のチューブを回収装置に固定し(図2)長いキャピラリーを静かにチューブの底まで降ろす。

8.ペリスタポンプのスィッチをONにし、エッペンチューブに0.5mlずつ回収する。このときエッペンチューブ内に先に50ulの(3M)NaoAc(DEPC処理)を入れておくと回収後即エタ沈できる。約25~30本のチューブに回収後1mlのエタノールを入れてー70oCに2時間以上保存する。

9.cDNA合成あるいはoocyteへのインジェクションに用いる場合、SDSを完全に除くためにエタ沈は2回以上したほうが良い。

 

(横溝注)現在cDNA合成後にSize fractionationを行うことも多い。hybriのためのライブラリならこの段階でのsize cutは不要と思われます。

 

4. Synthesis of cDNA libraly

(用意するもの)

・Pharmacia社製cDNA合成Kit

・5ml ガラスピペット 2本 (シリコン処理が必要)

・Sepharose CLー4B (Pharmacia)

・Sephacryl Sー1000 (Pharmacia)

 

(横溝注)現在RTはMMLVでなくSuperscript(BRL)を使うことが多い。(15.1参照)

 

1.3~5μgのpoly(A+)RNAを用意する。これに滅菌水(DEPC処理)を加えて20μlとする。

2.65oC、10分間インキュベート後、氷中で急冷する。

3.このRNA溶液を1st strand合成溶液(kit)内に入れ、更にDTT溶液を1μl,[αー32P]dCTPを1μ加える。

4.37oC、1時間反応する。

5.1st strand合成溶液を2ndstrand合成溶液(kit)内に入れ、更に[αー32P]dCTPを5μl加える。

6.12oC、1時間反応後、22oC、1時間反応する。

7.1μlのklenowフラグメント(kit)を加え、37oC、30分間インキュベートする。

8.Phe/Chlo抽出で除蛋白をし、ゲル濾過で合成されたcDNAをfreeの小分子物質と分離する(図1参照)。

*平衡化バッファーはTE(1mM:0.1mM)

*流速は100μl(2滴)/min.とし、100μlずつエッペンチューブにサンプリングしていくとNo.17~20付近のフラクションからcDNAが回収される。No.40ぐらいまでサンプリングすればよい。

9.液体シンチレーションカウンターで各フラクションのカウントを測定しcDNAを含むと思われるフラクションを1本のチューブ(シリコン処理)に集める。

*ピ-クは2つ見られるが最初の小さい方がcDNAのピ-ク。

10.これを凍結乾燥する。overnight!

*1日目終了

11.凍結乾燥させたcDNAを90μlの滅菌水に溶かす。

12.10μlの(3M)NaoAcと200μlのエタノールを加えー70oC、2時間放置する。

13.1,4000rpm、10分間遠心する。

14.沈澱物を44μlの滅菌水に溶解後、5μlのbluntingkit(x10)バッファーと1μlのT4DNAポリメラーゼを加え、37oC、15分間インキュベートする。

15.Phe/Chlo抽出後、上層(水層)に5μlの(3M)NaoAc、110μlのエタノールを加えー70oC、2時間放置する。

16.14,000rpm、10分間遠心する。

17.沈澱物を40μlの滅菌水に溶解する。

18.EcoRIアダプターライゲーションを行う。・ATPはpHに注意!Pharmacia社製の溶液が良い

(反応組成)

cDNA溶液 40μl

EcoRIアダプター 1.5μl

x10)バッファー 5μl

25mM ATP 1μl

T4DNAリガーゼ 2.5μl

50μl

12oC、overnight

*2日目終了

19.ライゲーション反応液を65oC、10分間熱処理する。(T4リガーゼの失活)

20.氷中で急冷後、4μlの25mMATP、1μlのT4ポリヌクレオキナーゼを加え、37oC、30分間インキュベートする。

21.Phe/Chlo抽出後、ゲル濾過(Sepharose CLー4B)でフリーのアダプターを除く。

*カラムは図1と同じものでよい。

*平衡化バッファー、流速ともに図1と同じ。

*100μlずつサンプリングするとNo.17~22付近でcDNAが回収できる。

22.cDNAを含むフラクションを1本のチューブ(シリコン処理)に集め凍結乾燥する。

*3日目終了

23.凍結乾燥したcDNAをTENバッファー(1mM:0.1mM:100mM)に溶かし、再度ゲル濾過する。

*樹脂はSephacryl S-1000。

(これにより短いcDNAを除くことができる)

*平衡化バッファーはTEN。

*その他は図1と同じ。40本程度サンプリングする必要あり。

24.No.18から40までの偶数番号のチューブから5μl程度サンプリングしアガロースゲル(ミューピットゲル)で電気泳動する。残りのサンプルはー20oCに保存しておく。

25.アガロースゲルをドライし(シークェンス用)、オートラフィルムをはさんでー70oCでovernight置く。

*4日目終了

26.オートラフィルムを現像し、各フラクションのcDNAの長さを比較する。

27.目的とする長さのcDNAのフラクションを溶かし、1本のチューブ(シリコン処理)に集め、凍結乾燥する。

 

(横溝注)凍結乾燥は収率が悪いため現在あまり行われない。エタ沈を行うことが多い。

 

*5日目終了

28.凍結乾燥したcDNAを45μlの滅菌水に溶かし、5μlの(3M)NaoAc、100μlのエタノールを加えてー70oC、2時間放置する。

 

(横溝注)ここではNa塩ではなく、NH4OAcの方が次のライゲーションでの失敗が少ない。

 

29.14,000rpm、10分間遠心する。

30.沈澱物を20μlの滅菌水に溶かす。

31.LambdaZAPIIベクターとのライゲーション

(反応組成)

cDNA 2.5μl

λZAPII 0.5μl

(x10)バッファー 0.5μl

5mM ATP 1.0μl

T4リガーゼ 0.5μl

5.0μl

4oC、overnight

*6日目終了

32.反応液の半分(2.5μl)をパッケージング。残りは-20oCで保存。パッケ-ジングはまず2.5μlの反応液を赤色のチュ-ブに入れ、更に黄色のチュ-ブの液を15μl取り、これに加えて十分ミックスする。この際泡立てないようにする。

33.22oC、2時間インキュベ-トする。

34.500μlのSMバッファ-と50μlのクロロホルムを加える。

35.十分にミックスし、4oCで保存する。

 

(横溝注)現在Packagingは一本のチューブで行えるようになった。(Stratagene, Gigapack III)

 

(TiterCheck)

36.Host cell(E.coli XL1-Blue,OD600=0.5,10mM MgCl2に懸濁)を用意する。

37.上述のライブラリ-(500μl)の一部を100倍希釈したものを用意する。

38.300μlのHost cellと10μlのライブラリ-希釈液をミックスし、37oC、15分間インキュベ-トする。

*反応には5mlファルコンチュ-ブを使うと便利!

*ライブラリ-希釈液の種類を数種用意しておけばより正確なtiterが求められる。

39.NZY top agarを3ml加え、NZY plate(9cm,丸型)に蒔く。

40.37oC、8時間インキュベ-トする。

41.プラ-クの数を計算する。(Expression cloning の場合100万pfu/μg arm 以上が望ましい)

もし、100個のプラ-クが出ていたらtiterは以下の式で計算される。

100x100(希釈率)x50(全ライブラリ-中の数に勘算)

x2(ライゲ-ションミックス全量に勘算)

x2(λZAPII 1μgを用いた場合に勘算)

=200万pfu/μg armとなる。

(横溝注)同時にX-galとIPTGを用いて、color selectionを行うこと。(Top agarに、final 5mM IPTG, 30mM X-galを加えておけばいい)これにより、insertの入ったクローンの割合(5%位なら成功)を知ることができる。この段階で10-20個のwhiteのクローンをランダムに選び、insertの長さを確認する。

 

5.Preparation of Xenopus laevies oocytes

(用意するもの)

・アフリカツメガエルは浜松生物教材株式会社(Tel:05359-2-7822)り購入。国産は一匹、1000円。アフリカ産は一匹、2200円。購入した直後は餌を食べないこともある。1~2週間すれば環境になじんで餌も十分食べるようになるのでそれまでoocytesは使わないほうがよい。

・MBS溶液(CaCl2を入れたものと、入れていないもの)

 

1.カエルを氷中につける。約30分間すればカエルは冬眠状態になる。

2.カエルの下腹部を5mm程度ハサミで切り、ピンセットで卵母細胞を取り出す。取り出した卵母細胞はMBS(Ca2+free)の入ったシャ-レにいれる。

カエルの傷口は外科用アロンアルファでふさいでやる。十分接着するまで(1時間程度)カエルは氷上で眠らせておく。

*傷をふさいだカエルは一週間程度他のカエルとは別に飼育してやる方がよい。

3.ピンセットで卵の房を裂く。慣れるまでは顕微鏡下で行う方が良い。

4.0.2%コラゲナ-ゼ(Sigma、typeII)入りMBS(Ca2+free)内で約2時間、室温でインキュベ-トする。

*コラゲナ-ゼはLot.チェックの必要あり。

*1.5時間を過ぎた頃から反応の進み具合をチェックした方がよい。ピンセットで房を摘んでみて房が少し裂けてしまう程度で反応を止める。

5.卵母細胞を新しいMBSで洗ってやることで反応を止める。

*ここから先のMBSにはすべてCa2+が含まれる。コラゲナ-ゼ反応中、Ca2+freeにすることで卵母細胞に悪影響を及ぼす未知の活性を抑える。

6.顕微鏡下、卵母細胞表面の膜をピンセットで除く。

*これがうまくできるようになるにはかなり経験が必要!頑張ってください!!

7.膜をのぞけば即マイクロインジェクションできるが、初心者の方はMBS中で一晩放置し生き残ったものだけ用いるようにしたほうがよい。

 

6.Preparation of lambda phage DNA

(用意するもの)

・SMバッファー

NaCl 5.8g

MgCl2 2.0g

ゼラチン 0.1g

1MTris(pH7.5) 50ml

up to 1,000ml

・PEGsoln.

PEG6,000 100g

NaCl 58g

SM up to 500ml

 

1.前日、角プレ-ト(15cmx9cm)にファ-ジをまく。(Titer=5万)

2.O/N(約10時間)培養,at37oC

3.全面溶菌を確認後、SMバッファ-を12ml入れて室温で1.5時間振とうする。

4.50ml遠心チュ-ブにSMバッファ-を回収し、更にプレ-ト表面を4mlのSMバッファ-でWash後これも同じチュ-ブに回収する。

5.チュ-ブを10,000xg、10分間遠心し上清を別の50mlチュ-ブへ移す。

6.RNase(10μg),DNase(10μg)を加え、37oC、10分間インキュベ-トする。

7.15mlのPEGsoln.を加え充分混合後、氷中に2時間放置する。

8.チュ-ブを10,000xg、10分間遠心後、上清を捨てチュ-ブを伏せて充分PEGsoln.を除く。(この場合、キムワイプを使って除いても良い)

9.沈澱物を1mlのSMバッファ-に溶かし(完全に溶かすことが重要)、これを1.5mlチュ-ブへ移す。

10.10,000xg、2oC、10分間遠心する。この時アガロ-スが沈澱物として除かれる。

11.上清を15mlP.P.チュ-ブへ移し、RNase(2μg)を加えて室温で

10分間放置する。

12.50μlEDTA (0.5M),30μlSDS(10%)を加えて65oC、25分間インキュベ-トする。

13.1mlのPhe./Chlo.を加えボルテックスで充分混合する。

14.3,000xg、室温、10分間遠心する。

15.上層を1.5mlチュ-ブ2本に分ける。(約500μl/チュ-ブ)

16.50μlNaoAc(3M)、1mlエタノ-ルを加え充分混合後、-70oC、10分間放置する。

17.1,2000xg、2oC、10分間遠心後、上清を完全に除き各チュ-ブの沈澱物を100μlのTEsoln.に溶かす。

18.(15.)で2本に分けたサンプルを1本に集める。(計200μl)

19.200μlPhe./Chlo.を加え充分混合後、10,000xg、室温、5分間遠心する・

20.上層を別のチュ-ブへ移し100μlNH4oAc,600μlエタノ-ルを加えて-70oC、15分間放置する。

この時点で1日目の実験を終了しても良い

*この時点で糸状のDNAが見えれば実験は成功!もしツブツブの析出物が多く見られればRNAが大量に残っている可能性あり。また、アガロ-スが残っていてもこの様なことになる。この場合、次のエタ沈で沈澱物をTEsoln.にとかした際

10,000xg、2oC、5分間遠心するとアガロ-スは除ける。

21.10,000xg、2oC、10分間遠心して上清を完全に除く。

22.沈澱物を50μlのTEsoln.に溶かす。(やや溶けにくい場合あり)

 

(GeneClean Treatment)

23.溶かした液に200μlのNaI液を加え混合後、10μlのグラスミルクを加える。

24.氷中に10分間放置する。(グラスミルクは沈みやすいので時々混ぜてやる)

25.卓上遠心機で30秒間遠心してグラスミルクを落とし上清は捨てる。

26.700μlのNEWWash液を加えてグラスミルクを完全に懸濁する。(完全に懸濁することは非常に重要!)

27.卓上遠心機で30秒遠心し上清を除去後、沈澱したグラスミルクを再度700μlのNEWWash液に懸濁する。

28.(26,27)のWash操作を3回繰り返す。(3回目の遠心は上清を完全に除くことが重要!)

29.沈澱させたグラスミルク(上清は完全に除去)を75μlのTEsoln.に懸濁し、55oC、5分間インキュベ-トする。

30.卓上遠心機で30秒間遠心し、上清のDNA抽出液を別ノチュ-ブへ移す。

31.沈澱のグラスミルクは再度75μlのTEsoln.で抽出操作を行う。抽出液はTotal、150μlとなる。

32.抽出液に150μlのPhe/Chloを加え充分混合後10,000xg、室温、5分間遠心する。

33.上層を別のチュ-ブへ移し、75μlの(7.5M)NH4oAcと500μlのエタノ-ルを加え混合後-70oCに保存する。

*この方法で約10μg/plateのphageDNAが調製できる。

 

7.Screening of cDNA from λZAPII library

(用意するもの)

・NET

(5M)NaCl 40ml

(2M)Tris-HCl,pH8.0 5ml

(0.5M)EDTA 4ml

Water up to 60ml

・Denhardt's soln.

Polyvinyl-pyrrolidone 1g

Ficoll 1g

BSA 1g

Water up to 100ml

 

(プロ-ブの調製)

1.プロ-ブにしたいDNA断片をGene clean kitを利用してアガロ-スゲルから回収する。

*私の場合、100ng/μl(水)程度の濃度で調製する。

2.200ng(2μl)をエッペンチュ-ブに取り、滅菌水を加えて58μlとする。

3.10分間、煮沸する。

4.氷中で急冷する。

5.20μlの(x5)バッファ-(kit)と10μlのPrimer/BSA(kit)を加える。

6.10μlの[α-32P]dCTPを加える。

7.1μlのklenowフラグメントを加え、十分撹拌した後37oC、1時間インキュベ-トする。

8.反応後、Phe/Chlo抽出する。

9.スパンカラムでfreeの放射能を除く(図1参照)。

10.上層を別のチュ-ブへ移す。

11.1μlをサンプリングし液体シンチレ-ションカウンタ-でカウントしてみる。

*200,000cpm/μl程度ならOK!!

12.プロ-ブは-20oCで保存する。

 

(フィルターの調製)

*cDNAまたはゲノムライブラリーからの1stスクリーニングの場合を例にする。

1.大型丸プレート(直径15cm)に約3万プラークのファージをまく。

*15時間程度インキュベートしできるだけ大きなプラークをつくらせる。

2.翌日、プラークを形成させたプレートを4oCへ置く(約1時間)。

3.ポール社製フィルター(大型丸)にプレートの番号をマークする。

*フィルターを扱う場合はビニール手袋着用のこと!!

*プレート1枚につきフィルターは2枚必要。

4.マークした方を下にしてフィルターをプレートの上に置く。

*1枚目は1分間、2枚目は3分間置く。

5.フィルターをプレートから剥し変性液の上に置く(5~10分間)。

*机の上にサランラップをひき、その上に5mlずつ変性液を置いていく。

そしてこの上にファージが付いている面を上にしてフィルターを置いていく。

6.ペーパータオルの上にフィルターを置き変性液を除く。

7.フィルターを中和液の上に置く(5~10分間)。

*方法は変性液の場合と同じ。

*中和反応は2回行う。

8.ペーパータオルの上で中和液を十分除いた後、2xSSCの液の上にフィルターを置く(5~10分間)。

9.ペーパータオルの上で液を除いた後、フィルターを80oC、2時間熱処理する。

10.UVランプ下、7分間放置する。

11.この状態で保存可能。

*ペーパータオルにはさんで乾燥した条件下で保存する方がよい。

 

(ハイブリダイゼーション)

1.保存しておいたフィルターを3xSSC中で65oC、30分間インキュベートする。

2.フィルターをペーパータオルの上に置き液を除いた後、ハイブリ用ビニール袋の中にいれる。

*ビニール袋に入れる際、フィルターは重ねてもよい。

*ビニール袋は絶対ハイブリ用のものを用いること!

3.ビニール袋の中にハイブリ溶液を入れてポリシーラーでシールする。液量は1.0ml/filter程度でよい。

(ハイブリ溶液の調製法:30mlの場合)

ssDNA 1.0ml

water 12.5ml

13.5ml

100oC、10分間

氷中で急冷

add NET 9ml

Denhardt's soln 6ml

(10%)SDS 1.5ml

30ml

 

*ビニール袋に入れる際、0.45mmフィルターに通すこと!!

これによりバックグラウンドが落ちる。

4.ハイブリの温度(80%程度の相同性ならば55~60oC)で2時間以上インキュベートする(プレハイブリダイゼーション)。

*オーバーナイトでもよい。

5.ハイブリのビニール袋の角を一カ所ハサミで切り、ピペットマンでプローブを

入れる。ポリシーラーでシールした後、袋を上下してしっかり混ぜる。

*プローブの量は200,000cpm/mlを目安とする。

*プローブは使用直前に100oC、5分間熱処理し、氷中で急冷する。

6.ハイブリの温度で20時間程度インキュベートする。

7.ビニール袋の隅を切りハイブリ液を捨て(廃液タンクへ)さらにビニールを切り裂いてフィルターを取り出す。この際、角タッパ容器に4xSSC、0.1%SDSを入れておき、これにフィルターを入れるようにする。

8.室温で15分間、フィルターを洗浄する。ピンセットを使ってフィルターをよくすすぐとよい。

9.この洗浄操作を2回行う。

10.4xSSC、0.1%SDS中、ハイブリ温度で15分間洗浄する。

*この場合もピンセットでよくすすぐこと。

*洗浄の目安としてサーベイメーターで1,000cpm/フィルター程度まで根気よく続ける。長時間洗浄してもカウントが落ちない場合はSSCの濃度を下げて洗浄してみる。

11.3MM濾紙にフィルターをはり(セロテープで)、サランラップで包む。

オートラカセット(大型)にX線フィルムとともに挟みこみー70oCで

50時間程度放置する。

12.X線フィルムを現像しポジティブシグナルの部分をアガロースプレートから

かきとり(直径0.5mm程度)1mlのSMバッファー(50μlのクロロホルム入り)に入れる。5分間振とうする。

13.Titer checkをし、小型丸シャーレ(9cm径)に100プラーク程度まく。

 

以下、1stスクリーニングと同様の方法で2nd、3rdスクリーニングを行い、single cloneを得る。Good Luck!!

 

(Plasmid rescue)

1.50μlのファージ溶液(in SM溶液、titerは10,000plaq-ues/μl程度)と200μlのXL1ーBlue(host cell、

in 10mM MgCl2、OD600=0.5)を15mlのファルコンチューブに入れ、さらに1μlのヘルパーファージ(λZAPII kit内にあるもの)を加えて混合後37oC、15分間インキュベートする。

2.5mlの2xYT培地を加え(あらかじめ37oCであたためておく)、37oC、5時間振とう培養する。

*できるだけ激しく振とうする方がよい!

3.70oC、20分間インキュベートする。

4.3,000rpm、5分間遠心する。

5.上清(約5ml)の内の5μlをエッペンチューブに入れこれに200μlの

XL1ーBlueを加えて混合する。

*残った上清は4oCに保管しておく。

6.37oC、15分間インキュベートする。

7.アンピシリン(50μg/ml)入りLBプレートにまく。

*プレートは2枚用意し1枚には20μl、もう1枚には150μlまく。

こうすればコロニーが多すぎてpick upができないということにはならない。

8.約15時間すればコロニーが見えてくる。この形質転換体はクローンプラスミドを持っているのでアルカリ法でプラスミドを調製しインサートを調べれば得られたクローンについての解析が可能。

 

クローニング終了