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米国南東部脂質研究会に参加(1998年11月10日)


(会場裏のRockie Mt.)


(紅葉のGreat Smoky Mt.)


(Hampton Inn)


(Gabor)

98年11月4日~6日まで、ノースカロライナ州のCashiersという村で、脂質研究会が開催された(33回会長 Dr. Gabor Tigyi)。会場はアトランタから車で3時間、Great Smoky Mountainsの中腹にある山小屋Hampton Innで行われた。Duke, Wake Forest, Tennessee, Emory, Oak Ridgeと脂質の研究で有名な大学がひしめくこの地域はさしずめ、米国の脂質研究の発祥の地とも言えよう。若手研究者が100人程度参加し、口演とポスター発表すると共に、毎年、二人のゲストスピーカーが選ばれる。今年はSarah Spiegel (Georgetown University)と私の二人が、それぞれ1時間の講演を行った。Dr. Spiegelの講演タイトルは"Sphingosine-1-phophate(S-1-P)-signaling inside and out"であり、sphingosine kinaseを64万倍精製し、クローニングしたこと、また、S-1-Pが細胞内ではraf kinaseを活性化し、また、細胞外では一連のEdg-family receptors (GPCR)を活性化し、細胞の増殖と反アポトーシスに働くことを示した。スフィンゴミエリンから作られるセラミドと、その代謝産物であるS-1-Pが正反対の作用を営むとしたら、この二つの分子を調節するキナーゼの役割は実に大きいこととる。S-1-Pもまたdual receptorを持つのだろうか。脂質生化学がポストゲノムの時代の主役の一つになるのは間違いなく、会場の活気がそれを示していた。