晩秋の北欧(1998年11月28日)
(Goodies右からColin Funk, Pierre Borgeat, Bob Murphy, Maria Kumulin,Charles Serhan)
(夕焼けLappoport)
(Lapport/Xmas)
(駅まで見送り)
カロリンスカ研究所でノーベルフォーラムが開かれた。今年の主題は「喘息」で、私も招待講演をした。気管支喘息は今や人口の10%を越え、一部の国では30%近くが罹患しているという。大きな問題である。ロイコトリエンはその中でも最も重要なメディエーターの一つであり、この合成、受容体、代謝などが熱心に議論された。特に、5-リポキシゲナーゼやロイコトリエンC合成酵素の遺伝子多様性と気管支喘息との関係が明らかになったのは大きい発見であった。この分野では、最近のLancetにロイコトリエンC合成酵素の欠損が知能発達を引き起こす例が発表されたり、我々がクローニングしたロイコトリエンB4受容体がHIVのcoreceptorである可能性が報告されるなど、話題が豊富であるが、まだ、必ずしも信用されているわけではない。ところで、学会も終わった週末、北極圏のある村を訪れた。しんしんと雪が降り積もり、気温はー20度にも達する極寒の地で感じたものは、美しい自然に悠久と流れる時間だった。氷河の切り刻んだU字峡はわずかな時間のぼる太陽に染められて、その数時間後には吹雪と白い闇が訪れた。幻想の風景の中で、私を見送りする老夫婦がいた。